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古典文法解説⑤~「なむ」の識別編~

2024年11月30日

 

前回は「なり」の識別について説明しました。(リンクはこちら→古典文法解説④~「なり」の識別~ 

今回は「なむ」の識別について説明していきます。

 

はじめに

 

まずは、どのような種類の「なむ」があるのか見てみましょう。

 

◎願望の終助詞「なむ」(未然形接続)

◎完了の助動詞「ぬ」の未然形「な」+推量の助動詞「む」

◎ナ変動詞の未然形活用語尾「な」+推量の助動詞「む」

◎係助詞「なむ」(結びは連体形)

 

一見すると複雑ですが、実は「なむ」の識別も接続活用形(今回は係り結び)に注目すれば見分けることができます。

それでは識別のポイントを確認しましょう。

 

【識別のポイント】

「なむ」の上につく語が

未然形なら願望の助動詞

連用形なら完了の助動詞+推量の助動詞

「死」「往」ならナ変動詞の未然形活用語尾+推量の助動詞

また、

「結び」が連体形なら係助詞

 

①~③は「なむ」の上につく語で、④は「なむ」より下にくる語で判断します。

 

①は他にも「文末にくる」という特徴もあります。「。」で終わるところだけでなく、引用の助詞「と」の前にくることもあるので注意しましょう。

②について、識別自体は簡単ですが、結局は完了の助動詞と推量の助動詞の用法が理解できているかが問題になります。

③がもっとも分かりやすいのではないでしょうか。「死なむ」「往なむ」のようなかたちであれば、このパターンだということになります。

④は「係り結び」ですね。「なむ」に続く文末が連体形になっていれば、係助詞の「なむ」だと判断できます。また、連体形体言などが上につくことがありますが、その場合も係助詞です。

 

では、実際に確認してみましょう。

 

例題

 

1.花咲かなむ

2.花咲きなむ

3.花の下にて春なむ

4.なむ咲く

5.名をば、さぬきの造となむいひける

※「咲く」はカ行四段活用の動詞です。

 

1は「なむ」の上がカ行四段活用の未然形なので願望の終助詞「なむ」

2は「なむ」の上がカ行四段活用の連用形なので完了の助動詞「ぬ」の未然形「な」+推量の助動詞「む」

3は「なむ」の上が「死」なのでナ変動詞の未然形活用語尾「な」+推量の助動詞「む」

4は「なむ」の上が体言なので、係助詞「なむ」

5は結びが過去の助動詞「けり」の連体形なので、係助詞「なむ」

 

いかがでしょうか。活用形や品詞が分からなくなってしまった場合は辞書を引いたり文法のテキストを確認するようにしましょう。

 

おわりに

古典文法は、古文を読むためのルールです。「古文を読むために文法を学ぶ」ということを意識ながら取り組んでいきましょう!

 

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