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古典文法解説④~「なり」の識別~
2024年08月24日
前回は「る」と「れ」の識別(リンクはこちら→古典文法解説③~「る」と「れ」の識別編~)について説明しました。今回は「なり」の識別について説明したいと思います。
はじめに
古文を読んでいてよく目にする「なり」ですが、どのような種類の「なり」があるのでしょうか。まずは古文に出てくる「なり」について確認してみましょう。
◎断定の助動詞「なり」(体言、連体形接続)
◎伝聞推定の助動詞「なり」(終止形、ラ変型活用語の連体形)
◎形容動詞ナリ活用の活用語尾
◎動詞「なる」の連用形「なり」
助動詞が2つ、用言が2つ、計4種類の「なり」の識別を確認します。
なお、今回は「上につく語」で判断する方法をまとめました。
【識別のポイント】
「なり」の上につく語が
①体言や連体形なら断定の助動詞「なり」
②終止形やラ変型活用語の連体形なら伝聞の助動詞「なり」
③「~げ」「~やか」「~らか」なら形容動詞の活用語尾「なり」
④「~と」「~に」や連用形なら動詞「なる」の連用形「なり」
「なり」の識別を「上につく語」に着目してまとめてみましたが、②~④については補足が必要かもしれません。
②の「ラ変型活用語」というのは、ラ変動詞と同じパターンで活用する語です。ラ変動詞はもちろん、形容詞の補助活用(カリ活用)などがこれにあたります。
③の「~げ」「~やか」「~らか」は形容動詞に多い表現をまとめたものです。「きよげなり」「やはらかなり」などがあります。注意してほしいのは「形容動詞=げ・やか・らかが含まれる」ではないということです。例としては「あはれなり」などが挙げられます。
④の動詞「なる」は漢字で書くと「成る」です。つまり「恋しくなる」や「医者になる」など、現代語でも使う表現ですね。その連用形です。また、動詞「鳴る」も存在します。
では、実際に例題で確認してみましょう。
例題
- 男もすなる日記といふものを女もしてみんとてするなり。
- 人、いとうれしげなり。
- 妹恋しくなりにき。
- 秋の野に松虫の声すなり。
1は「なり」の上がサ変動詞「す」の連体形なので断定の助動詞「なり」
2は「なり」の上が「げ」なので形容動詞「うれしげなり」の活用語尾「なり」
3は「なり」の上が形容詞「恋し」の連用形なので動詞「なる」の連用形「なり」
4は「なり」の上がサ変動詞「す」の終止形なので伝聞の助動詞「なり」
いかがでしょうか。活用形や品詞が分からなくなってしまった場合は、こまめに辞書をひいて確認してください。
おわりに
今回は「なり」の識別を確認しましたが、文字数の都合で説明しきれなかった内容もたくさんあります。あくまでも基本的な内容だけをまとめたものですので、ぜひ文法の参考書などを使って勉強してみてくださいね!
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