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四季を感じる日本のことば
2022年07月02日
「五月雨」ちょうどこの季節を表すことばですが、いったいなんと読むのでしょうか?
「さみだれ」と読み、辞書によると、旧暦の五月・皐月の「さ」、水垂れの「みだれ」に由来し、旧暦の五月の頃に降る長雨のこと、つまり梅雨の別名でもあます。まさしく梅雨のこの頃、日々ジメジメとしまた蒸し暑さが体に堪えますが、そんな季節を「五月雨」と言い換えることで美しい情景と捉えることができるかもしれませんね。
エアコンのなかった古の人々も、季節の移ろいを上手に和歌に詠み込むことで、憂鬱な長雨やり過ごしていたのでしょうか。ことばひとつで物事を眺める眼差しを変え、またそれを三十一文字の中に表現し詠む者の心を和ませる、とても風流な文化だと思います。ここでこの季節を詠み込んだ俳句・短歌をそれぞれ紹介します。有名な作品なのできっと教科書でもみたことがあるかと思います。
『 五月雨を あつめて早し 最上川 』 松尾芭蕉
訳:梅雨の雨が上流のほうから最上川に集まり流れが速くなっているなあ。
『唐衣 着つつなれにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ』 在原業平
訳:着続けて馴染んだ唐衣のように親しんだ妻が都にいることを、遠く離れてはるばる来たこの旅の寂しさとともに思っているよ。
これは5、6月に咲く「かきつばた」を詠み込だ歌なのですが、どこに詠み込んだかわかりますか?それぞれの一文字目が「か」「き」「つ」「は」「た」となってい、この技法を『折句』といいます。伊勢物語の中の話で、ある男(在原業平がモデルとされる)が旅の途中で休んだ際に沢に咲いていたこの花を見て旅情を詠むようにお題を出し、それに応えたのがこの歌です。また他にも、枕詞、序詞、掛詞、縁語の技法が使われており、さすが和歌の名手で三十六歌仙でもある業平の作だなと感じさせます。
皆さんも過ごしにくいこの季節、少しだけ雅な気持ちで古典文化にふれ清爽に過ごしてくださいね。
(甲府山手通校 M.I先生)