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入試で役立つ化学溶解度を利用した析出量の計算と再結晶

2021年09月11日

今回は、溶解度についてみてみます。

 

固体の溶解度

 

高校の化学では、溶解度というと固体の溶解度と気体の溶解度がありますが、今回は固体の溶解度に焦点を当てて析出量の計算のしくみとポイントについて考えてみます。

気体の溶解度も苦手にしている受験生は多いと思いますので、また、機会があれば取り上げてみたいと思います。

 

そもそも溶質が水に溶けるということは、水の中で溶質の分子やイオンを水分子が取り囲んでいる状態のことで、この状態を水和といいます。

 

それでは、固体の溶解度ですが、まず定義。

溶解度は溶媒100gに最大限溶解する溶質の質量です。

 

つまり、溶媒の多くは水ですから、水100gに対して、溶質が最大限溶解する質量ということになります。

 

以下では溶媒は水として話を進めます。

一般に、温度が上がると溶解度が大きくなる物質が多いです。塩化ナトリウムのように温度が上がっても溶解度があまり変化しない物質や水酸化カルシウムのように温度が上がると溶解度がわずかですが下がる物質もあります。

 

そこで、物質ごとに温度と溶解度の関係をグラフに表すことができます。このグラフを溶解度曲線といいます。教科書には、硝酸カリウムや塩化ナトリウムの溶解度曲線のグラフが載っていますので、確認しましょう。

 

硝酸カリウムは温度が上がると、溶解度が急激にカーブを描いて大きくなります。一方、塩化ナトリウムは温度が上がっても、溶解度はわずかに大きくなりますが、それほど変わりません。物質によって、特徴があります。

 

化学は物質の学問ですから、理論も重要ですが、物質が持つ固有の性質も大切なので、教科書の写真、表、グラフなどもよく見ておきましょう。

さて、ここで、最大限溶解するというのが重要になります。

 

溶質が最大限溶解した溶液が飽和溶液です。

 

飽和溶液

 

飽和溶液について、少し詳しくみていきましょう。

溶質を水に溶かしていくと、最初は次々と溶解していきますが、溶解する量が増えると、固体の溶解が進む一方で、逆に溶解している溶質が固体にもどることも起こります。溶解する量がある一定量になると、固体が溶解する速度と溶解している溶質が固体にもどる速度が等しくなり、見かけ上、溶質の量が増えなくなります。この状態を溶解平衡といいます。

 

この溶解平衡の時に、水100g当たりで溶解している溶質の質量を溶解度というわけです。
この状態では、温度を変えなければ、これ以上水中の固体を増やしても溶解する量は増えないので、この溶液が飽和溶液です。

つまり、温度が決まれば、溶質と溶媒そして溶液の質量の比が決まるというわけです。

 

例えば、教科書によく出てくる硝酸カリウムは60℃での溶解度が109なので、60℃の硝酸カリウム飽和水溶液では、

(溶質の質量g) : (水の質量g) : (溶液の質量g) = 109 : 100 : 209

が必ず成り立つことになります。

これを利用して析出量の計算をします。

 

(問題)
硝酸カリウムが水100gに溶ける量は、60℃で109g、20℃で32gである。硝酸カリウムの60℃での飽和水溶液200gを20℃に冷却したら、析出する硝酸カリウムの結晶は何gか。

 

(解答)
まず、60℃での飽和水溶液200gに溶けている溶質の質量をx(g)とします。
この飽和水溶液の溶質、溶媒、溶液の質量を整理すると、
溶質x(g)、溶媒200-x(g)、溶液200(g)となります。

60℃の飽和溶液なので、溶質/溶液の式を立てると、x / 200 = 109 / 209
となります。(/は分数と考えてください。比の式を立てても可です。)

 

また、溶質、溶媒、溶液の比が決まっているので、溶質/溶媒の式を立ててもいいです。
上記の式からxを求めるとx=104.3(g)となります。小数第2位を四捨五入しました。

 

この飽和水溶液を20℃に冷却します。

 

ここで、20℃では溶解度が下がるために、溶液は20℃の飽和水溶液です。

20℃での析出量をy(g)として、溶質、溶媒、溶液の質量を整理します。

溶質104.3-y(g)、溶媒200-104.3=95.7(g)、溶液200-y(g)となります。

20℃の飽和溶液なので、溶質/溶液の式を立てると、104.3-y / 200-y = 32 / 132
となります。

 

上記の式からyを求めるとy=73.7(g)となります。小数第2位を四捨五入しました。

 

硫酸銅五水和物のように水和水(結晶水)をもつ物質のときも同様ですが、水和水は水に溶かすと、溶媒の一部になり、析出するときは溶媒から析出することに注意しましょう。機会があれば、考えてみたいと思います。

 

物質の精製方法としての再結晶

 

最後に、溶解度の違いを利用した混合物の分離方法を確認しておきましょう。

固体物質の温度変化による溶解度の違いが大きいとき、高温で溶媒に溶かした後、冷却すると結晶が析出します。しかし不純物は少量なので、飽和に達することなく析出しない。こうした物質の精製方法が再結晶です。

 

(甲府駅北口校 N.S先生))