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入試で役立つ化学 カルシウムについて

2024年09月28日

 

今回はカルシウムについて書いておこうと思います。

カルシウムの基本情報

カルシウムは、原子番号が20の元素です。

周期表では第4周期、2族の典型元素でアルカリ土類金属元素のひとつです。

2族元素ですから最外殻電子数が2で、2個の価電子をもち、2価の陽イオンになりやすい金属になります。

イオン化傾向がかなり大きく、化学反応を起こしやすい元素といえます。

カルシウムの単体

カルシウムの単体は銀白色の光沢をもち、空気中で加熱すると激しく燃焼し、酸化カルシウムになります。

また、常温の水と反応し、水素を発生して、水酸化カルシウムになります。

さらに、特有の炎色反応を示します。

炎色反応を示す金属とその色は「語呂合わせ」で覚えましょう。カルシウムは橙赤色です。

炭酸カルシウム

カルシウムには多くの化合物があり、名前に「石灰」とつくものが多いです。

「石」のように固い物質というのが名前の由来であるようです。

順にみていきましょう。

 

地球上の最も多く存在するカルシウムの化合物は炭酸カルシウム(CaCO3)です。

貝殻や卵の殻の主成分が炭酸カルシウムです。

周期表でカルシウム以下の2族元素の炭酸塩は水に溶けにくい白色の固体です。

炭酸カルシウムは、「石灰石」、「大理石」と言われ、

弱酸の塩であるため、強酸と反応すると二酸化炭素を発生します。(これは弱酸の遊離反応になります。)

実験室で二酸化炭素を発生させる方法です。

 

よく知られているように、二酸化炭素を検出するには、石灰水(水酸化カルシウム水溶液)に通して白濁するかを見ます。

この白色沈殿の正体は炭酸カルシウムです。

ここまでは中学で学ぶことですが、高校ではさらに進んで、

過剰な二酸化炭素を吹き込むと、炭酸カルシウムの白色沈殿が溶解します。

反応式は以下です。

 

CaCO3 + H2O + CO2 → Ca(HCO3)2

CaCO3 + H2O + CO2 ← Ca(HCO3)2

 

この反応は可逆反応です。

 

右向きの反応は、ちょうど石灰岩が地下水に溶けて鍾乳洞ができるときのしくみを表しています。

また、左向きの反応は、溶けて生じた炭酸水素カルシウムから鍾乳石や石筍ができる反応になります。

 

炭酸カルシウムは鉄の製造にも使用されています。

鉄鉱石とコークス、石灰石(炭酸カルシウム)を原料として溶鉱炉に入れて加熱します。

コークスは鉄鉱石に含まれる酸化鉄を還元して単体の鉄にする役割で、石灰石は強熱されて酸化カルシウムになり、鉄鉱石に含まれる不純物(酸化ケイ素や酸化アルミニウム)と反応してスラグを形成し、不純物を除去する役割を果たしています。

 

その他、アンモニアソーダ法にも登場するので、反応をチェックしておきましょう。

酸化カルシウムと水酸化カルシウム

酸化カルシウム(CaO)は「生石灰」と呼ばれています。

酸化カルシウムは炭酸カルシウムを強熱し分解して得られます。

水と反応すると水酸化カルシウムを生成し、硬化します。

このためセメントやモルタルの製造に使用されています。

 

水蒸気を吸収する性質(吸湿性)があるので、乾燥剤としても利用されています。

お菓子の袋の中に入っている乾燥剤を見ると、成分が酸化カルシウムと表示されているものがあります。

高校化学で乾燥剤としてよく登場するソーダ石灰は、酸化カルシウムに水酸化ナトリウム水溶液を染み込ませ、焼いて粒状にしたものです。

 

酸化カルシウムは金属の酸化物なので、塩基性酸化物に分類されます。

農業で野菜を育てるときなど、酸性化した土壌を中和するための中和剤としても利用されています。

 

水酸化カルシウム(Ca(OH)2)は「消石灰」と呼ばれています。

水酸化カルシウムは強塩基で、水酸化カルシウムの水溶液を「石灰水」といいます。

 

水酸化カルシウムと塩化アンモニウムを加熱して反応させるアンモニアが発生します。(これは弱塩基の遊離反応です。)

その他のカルシウムの化合物

天然に存在する硫酸カルシウムの二水和物(CaSO4・2H2O)を「セッコウ」といいます。

セッコウを加熱すると、白色粉末状の焼きセッコウ(CaSO4・1/2H2O)になります。

焼きセッコウを水で練って放置すると、硬化し再びセッコウになります。

このため、医療用のギブスなどに用いられています。

セッコウと焼きセッコウ、名前や水和水の数からのイメージはセッコウの方が柔らかそうですが、実は焼きセッコウの方が柔らかいです。

 

塩化カルシウム(CaCl2)は水に溶けやすく吸湿性を持つので、乾燥剤として広く利用されています。

冬季に道路に白い粒上の物質がまかれているのを見かけますが、これは塩化カルシウムです。

水と反応したときに発熱するので氷や雪を解かすのに効果的です。

食品や医療分野でも幅広い用途があります。

最後に

最後に同じ2族の元素でもマグネシウムとカルシウムは性質に違いがあります。

これもよく問われるテーマなので、おさえておきましょう。

 

マグネシウム

炎色反応を示さない。

単体が常温の水と反応しない。(熱水、沸騰水とは反応する。)

硫酸塩が水に溶ける。

水酸化マグネシウムは水に溶けにくい。

 

カルシウム

炎色反応を示す。橙赤色。

単体が常温の水と反応し、水素を発生する。

硫酸塩が水に溶けにくい。

水酸化カルシウムは水に溶け、強塩基性を示す。

 

 

以上みてきたように、

カルシウムは日常生活において身近な物質なので、高校化学で扱われている内容も多いです。

試験にも出されやすいので、ひとつひとつ丁寧に覚えておきましょう。

 

(甲府駅北口校N.S先生)

 

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