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入試で役立つ化学 薬理作用をもつサリチル酸

2024年06月15日

 

今回は医薬品として使用されている有機化合物をテーマに書いておこうと思います。

 

 

「アトルバスタチン」という医薬品

 

 

昨年、塾の生徒からある有機化学の問題の解説を求められました。

その問題は医薬品として使用されている「アトルバスタチン」という有機化合物に関する設問で、

設問自体は標準的なものだったのですが、

この「アトルバスタチン」という医薬品は血液中のコレステロール値を下げる薬理作用がある医薬品なのです。

 

実は、私は何年か前の健康診断で高脂血症と診断されました。

そのため、かかりつけ医の先生からこの「アトルバスタチン」の錠剤を処方されていて、今も毎日服用しています。

この設問に「アトルバスタチン」の構造式が記載されていたのですが、

自分に処方されている医薬品の構造式を見ながら、

この有機化合物がどういう仕組みで血液中のコレステロール値を下げるのか、興味関心がそそられました。

それと同時に有機化学や薬学の進歩に驚きと感謝の思いを禁じ得なかったことを記憶しています。

 

 

サリチル酸とその誘導体

 

 

高校の有機化学で医薬品といえばまず挙げられるのが、サリチル酸の誘導体です。

古代ギリシャの時代から、ヤナギの樹皮に解熱鎮痛作用のある物質が含まれていることが知られていました。

日本でもその昔、爪楊枝の材料としてワカヤナギの枝が使われたことがあったそうです。

 

19世紀なると、ヤナギの樹皮から解熱鎮痛作用のあるサリシンという物質が分離されました。

このサリシンが人間の体内で、サリチルアルコールとグルコースに分解され、

さらに酸化されて解熱鎮痛作用のあるサリチル酸が生じることがわかりました。

 

サリチル酸自体に解熱鎮痛作用があるのですが、サリチル酸を医薬品として服用すると強い副作用があります。

その副作用を抑える研究の結果、

現在でも「アスピリン」という名で広く使用されているアセチルサリチル酸が合成されました。

アセチルサリチル酸は、サリチル酸のもつヒドロキシ基を無水酢酸を使ってアセチル化することで得られます。

 

また、サリチル酸のもつカルボキシ基をメタノールとともにエステル化することでサリチル酸メチルが得られます。

こちらは、消炎外用薬として湿布などに使われています。

私は学生時代によく「サロメチール」という消炎外用薬の軟膏を使っていました。

当時は有効成分が何か知りませんでしたが、

いかにもサリチル酸メチルを含んでいるというネーミングです。

多くの湿布薬の成分表示を見るとサリチル酸メチルを含んでいるという表示があります。

ドラッグストアや薬局に行ったらぜひ湿布薬の成分表示を見てみましょう。

 

 

「カロナール」と「ロキソニン」

 

 

2020年からコロナウイルス感染症が広がり、多くの人々が感染し、社会生活が大きく変わりました。

コロナウイルス感染症は、風邪やインフルエンザに似た症状が見られました。

多くの患者は発熱があり、かなりの高熱になる患者も少なくありませんでした。

この時に解熱鎮痛作用のある薬が必要とされ、

医療機関では「カロナール」と「ロキソニン」という医薬品がよく処方されたそうです。

そのため、この2つの医薬品は一般に広く知られるようになりました。

おそらく名前を聞いたことがある方も少なくないと思います。

 

高校の化学にはアニリンを無水酢酸でアセチル化したアセトアニリドという物質が出てきます。

アセトアニリドには解熱鎮痛作用があります。

しかし、アセトアニリドは副作用が強いため、

現在ではアセトアニリドの誘導体であるアセトアミノフェンが解熱鎮痛剤として広く使用されています。

「カロナール」の有効成分がこのアセトアミノフェンです。

 

ちなみに、「ロキソニン」の有効成分はロキソプロフェンという物質です。

 

 

対症療法薬と化学療法薬

 

 

病気の症状を緩和し、自然治癒力によって病状を回復に向かわせる医薬品を対症療法薬といいます。

これまで見てきたアセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、アセトアミノフェンなどは対症療法薬に分類されます。

 

一方、病原菌に直接作用して細菌を駆除し、病気そのものを治す合成物質を化学療法薬といいます。

細菌に必要な酵素の働きを阻害することで細菌を駆除するのですが、

人間は阻害される酵素をもっていないので、影響がありません。

 

化学療法薬の代表例がサルファ剤です。

スルファニルアミドとその誘導体をサルファ剤といいます。

サルファ剤により、はしかや肺炎といった細菌性の病気の治療が可能になりました。

 

 

奇跡の薬といわれたペニシリン

 

 

イギリスの細菌学者フレミングは、ブドウ球菌を培養していたところ、

偶然培養皿の中に入ってしまったアオカビの周辺にブドウ球菌が生育していなかったことから、

アオカビの中に細菌の生育を阻害する成分があることに気づき、

ペニシリンが発見されます。

 

その後ペニシリンは医薬品として大量生産が可能になり、

それまで治せなかった伝染病が治せるようになり、たくさんの患者の命を救いました。

ペニシリンの発見によって、フレミングは他の2人の研究者とともにノーベル賞を受賞しています。

 

ペニシリンのようにある種の微生物によって作り出され、他の微生物の成長や機能を阻害する物質を

抗生物質といいます。

現在では様々な抗生物質が合成されています。

 

(甲府駅北口校N.S先生)

 

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