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入試で役立つ化学 アルミニウムについて

2023年08月12日

前回の記事はこちら→(入試で役立つ化学 合金について

 

 

今回はアルミニウムについて書いておこうと思います。

 

 

スチール缶とアルミ缶

 

私たちの身の回りにはアルミニウムを使用した製品が数多くあります。

 

例えば、アルミ缶です。飲料などが入っている缶は、スチール缶とアルミ缶があります。缶の表示を見ると、「スチール」「アルミ」という表示があるのが分かります。

 

緑茶やコーヒーは主にスチール缶が使われていますが、炭酸飲料は主にアルミ缶が使われています。これは、金属の強度が関係しているようです。

 

スチール缶とアルミ缶が混じっているときに両者を分ける簡単な方法は、磁石を使う方法です。実感のない人も多いと思いますので、ぜひ試してみてほしいのですが、スチール缶(鉄)は磁石につくのに対して、アルミ缶は(アルミニウム)は磁石につきません。鉄とアルミニウム、同じ金属でも種類によって性質がかなり異なるわけです。

 

 

アルミニウムの性質

 

アルミニウムは、原子番号13、周期表では13族で第3周期の典型元素です。価電子が3個のため、イオン化するときは陽イオンになりやすく、3価の陽イオンになります。また、色は銀白色で、金属の中では軟らかく、密度が小さく、軽金属に分類されます。

 

金属は、金属結合によって金属結晶をつくり、自由電子が存在することが大きな特徴です。自由電子があるために、金属光沢、展性・延性、電気伝導性、熱伝導性という性質があります。

 

アルミ箔(アルミホイル)は金属の展性を利用した製品です。

また、空気中に放置すると、表面に緻密な酸化被膜ができて、内部が保護されます。人工的に酸化アルミニウムのコーティングを施した製品はアルマイトと呼ばれて、熱伝導性が高いことから鍋ややかんなどのキッチン用品に利用されています。

 

 

アルミニウムの単体の製法

 

 

アルミニウムの単体の製法は、入試でよく問われるテーマの一つです。

原料はボーキサイトという鉱石で、ボーキサイトにはアルミニウムが酸化物として含まれています。

 

ここで、ちょっと寄り道をしましょう。

意外に思うかもしれませんが、アルミニウムは地中に存在する元素としては3番目に多い元素です。地上から地下16Kmまでの地中に存在する元素の質量%をクラーク数といいます。

wikipediaによると、

 

地中で最も多い元素は酸素で、そのクラーク数は49.5

2番目がケイ素で25.8

3番目がアルミニウムで7.56

 

となっています。

ちなみに鉄は4番目で4.70です。

 

話をアルミニウムの単体の製法にもどしましょう。

地中からボーキサイトを採掘して、不純物を取り除き、酸化アルミニウムを得ます。この酸化アルミニウムを電気分解して、アルミニウムの単体を取り出すのですが、アルミニウムはイオン化傾向が比較的大きいので、水溶液にして電気分解してもアルミニウムの単体は取り出せません。

 

そこで、高温にして酸化アルミニウムを融解し、電気分解をします。この方法を溶融塩電解(融解塩電解)といいます。イオン化傾向の大きな金属の単体を生成するときに有効な方法です。

 

ところが、酸化アルミニウムは融点が2000度以上で非常に高いので、融点を下げるために、氷晶石とともに溶かします。

電極には炭素棒が使われ、陰極にアルミニウムの単体が生成します。

陽極には酸素が発生しますが、電極の炭素と反応して一酸化炭素または二酸化炭素となります。

 

 

両性金属元素

 

 

アルミニウムは周期表の金属と非金属の境界線近くにあり、両性金属元素です。両性金属元素には、亜鉛、スズ、鉛などがあります。

通常、金属は酸とは反応しますが、塩基とは反応しにくいです。しかし、両性金属は、酸とも強塩基とも反応するという性質があります。

 

アルミニウムと塩酸の反応式は、

2Al + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2

 

アルミニウムと水酸化ナトリウムの反応式は、

2Al + 2NaOH + 6H2O → 2Na[Al(OH)4] + 3H2

 

となります。

 

この反応式は書けるようにしておきたいですね。

酸との反応式はイオンに分けてイオンの組み換えをすれば簡単に書けます。

強塩基との反応式は錯イオン(錯塩)が生成することを覚えておいて書く時の手がかりにします。

 

ちなみに、単体だけでなく、酸化物、水酸化物も両性ですから、酸とも強塩基とも反応します。

この時も強塩基との反応は同じように錯イオン(錯塩)が生成します。

 

また、アルミニウムは冷水とは反応しませんが、高温水蒸気とは反応します。

さらに、塩酸や希硫酸に溶けますが、濃硝酸や熱濃硫酸には不動態を形成して溶けません。

不動態とは、表面に緻密な酸化被膜を形成して内部が保護される現象で、

アルミニウムのほか、鉄やニッケルでも起こります。

 

 

最後に

 

 

最後に、アルミニウムの化合物の沈殿について見ておきます。

アルミニウムの3価の陽イオンを含む水溶液に少量の塩基性の水溶液を加えると、水酸化アルミニウムの白いゲル状の沈殿ができます。ここで、塩基性の水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を過剰に加えると、沈殿が溶解し、無色の溶液となります。しかし、同じ塩基性のアンモニア水を過剰に加えても沈殿は溶解しません。

 

ちなみに、同じ両性金属の亜鉛の2価の陽イオンを含む水溶液に少量の塩基性の水溶液を加えると、水酸化亜鉛の白い沈殿ができます。ここで、塩基性の水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を過剰に加えると、沈殿が溶解し、無色の溶液となります。亜鉛の場合はアンモニア水を過剰に加えても沈殿が溶解します。

 

この辺は細かい違いがあるところですが、しっかり覚えておきたいところです。

 

(甲府駅北口校 N.S先生)

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