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2030年には海底地形がすべてわかる!?宇宙よりも奥深い海の魅力について迫る

2022年07月13日

人々の身近な存在である海。

この地球の半分以上を占める海は、実のところたったの15%しか解明されていないのを皆さんはご存じでしょうか。

 

今回は、そんな謎に秘められた海の魅力と、それに向けたあるプロジェクトについてお話していきます。

 

現在把握している海底地形は全体のたった15%!

 

海の地形を100%解明するとどういったメリットがあるのか。

例えば、海底の地形が分かることで、潮の流れ、天候、地震、津波の情報を正確に予想することができます。それによって災害を未然に察知することができますし、船舶が安全に航行することも可能です。

 

また海中に生息する未知の生態系を解明できるだけでなく、潮の流れを利用した発電や新たな資源の発見もできるかもしれません。

 

地球の表面の約70%は海でおおわれています。

人類が住む、この陸地の約2.5倍の面積を誇る海底地形を解明することで、飛躍的な技術の進歩が目指せるというのです。

 

なぜ海は未開拓のままなのか

 

ではなぜ、今現在に至るまで海底は解明されていなかったのでしょうか。

 

問題点としてあげられるのは以下の3つです。

 

1,水圧に耐えられるだけの設備機器と莫大な費用

2,水中での通信手段が「超音波」のみ

3,光の届かない暗黒の世界

 

海底探索でもっとも大きな課題となるのが『水圧』です。

海中では、1万mの深さで約1,000気圧の水圧がかかるとされています。宇宙と地球との気圧の差は1気圧しかないのに対して、海中は10m深くなるごとに1気圧増えるのです。

もちろん生身の状態では行けませんよね。それに耐えうるだけの潜水艦(耐圧殻ともいう)を作らなければならないのです。

 

2019年に世界で4人目のチャレンジャー海淵に到達したリミティング・ファクター(Limiting Factor)号は、深さ1万4,000mの水圧にも耐えられる強度をもち、開発にかかった費用は約5億円にものぼるとのこと…。

 

また実際に海底探索を行ううえで、陸上との通信手段が必要となってきます。

一般的に、陸上での通信の際に使用するのは「電波」ですよね。しかし水中の場合、電波が届かないため、おもに超音波を用いて探索をしなければなりません。

超音波は電波に比べて分解能が非常に低いことから、探査機の位置を把握するだけでも非常に困難となってしまうのです。

 

そして、なにより海底は太陽からの光を一切遮断した暗黒の世界だということ。

暗闇のなかで懐中電灯の光だけを頼りに空間を把握することが難しいように、たとえ人類が有人探査機で海底探索ができたとしても、目視だけで地形をすべて把握するのは限りなく不可能に近いといっていいでしょう。

 

宇宙に飛び立った人の数が500人を超える一方で、マリアナ海溝に到達した人の数はたった4人のみ。それだけ海底探索が難しいものだというのがよくわかりますね…。

 

残り85%の解明に向けた国際プロジェクト

そんな謎に包まれる海底ですが、近年、日本財団と国際組織「GEBCO指導委員会」が共同で、ある国際的プロジェクトを立ち上げました。

それは「Seabed2030」。2030年に海底地形を100%解明するといった取り組みです。

 

プロジェクトのきっかけは、2014年に起きたマレーシア航空旅客機の事故でした。

インド洋に墜落したとみられる航空機を探すため、海底探索を行ってみたところ、海底には約2,000m級の山や谷が多く見つかったそうです。

 

そして、なにより上述でも話したように海底地形を把握することで、飛躍的な技術の進歩と地震や津波などの災害対策にも大いに役立つのです。

 

プロジェクト始動当初、たった6%しか分かっていなかった海底地形は15%まで解明されることとなりました。

 

また2018年に開催された海底マッピングの技術を競う「Shell Ocean Discovery XPRIZE(以下、XPRIZE)」というコンペティションでは、GEBCO日本財団のアルムナイチームが、水深4,000mの無人測定に成功。これは今まで不可能とされていたことだったそうです。

 

前人未踏の快挙に日本人の活躍があったことは、私たちにとっても嬉しい知らせですね!

 

2030年には海底100%解明が実現か!?

 

これまで専門家のあいだでは、「海底地形図の完成には約1,000年もの年月がかかるだろう」と言われ続けていたそうです。

それだけ海底地形を把握するということは困難を極めるということ。

 

水圧に耐えられるだけの機材、それにかかる莫大な費用、そしてなによりこの取り組みに参加してくれるだけの人材をどう確保するか、といったさまざまな課題が残ります。

 

「Seabed2030」のプロジェクトによって協力してくれる団体は、年々増え続けており、今後の活躍が大いに期待されることでしょう。

 

現在、私たちが目にするこの山や谷、かつては都市として栄えた街の名残りが同じような形で海底にも存在するのかもしれません。そしてそこには、まだ誰も見たことのない生物が生存していたら…。

 

そんなロマンあふれる海底探索。2030年にはどのような世界が見えているのか、解明される日がとても楽しみですね。

 

(参考:日本財団ジャーナル『火星の表面よりも謎に包まれた「海底地形」。100%解明に向けた世界的取り組みと未来の可能性』)

(参考:NHK「火星よりも遠い場所?地球の海底地形を解き明かせ!!」)

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