KATEKYO知恵袋
生存確率0.01%!絶滅の歴史からみる生き残りのヒント(後編)
2022年06月24日
地球上に最初の命が誕生したのはいまから約40億年前。
そこから今まで、数えきれないくらいの生き物が生まれ、進化し、絶滅するという命のサイクルが繰り返されてきました。
水と酸素に恵まれた地球は、生き物にとって生きやすい環境だと思いませんか?しかし、これまでに地球に生まれた生き物の種のうち、99.9%が絶滅しています。絶滅とは、その種類の生き物がこの世から1匹残らず消えることです。
なぜ、こんなに生き物の生存率が低いのか?それは、地球で急激な環境変化が起こった際に、生き物がどうがんばっても生き残れない状況に見舞われ、たくさんの種が一斉に絶滅した為と言われています。こういった理由で生き物が一斉に絶滅することを「大絶滅」と言います。
地球上では何度も大絶滅が繰り返されてきましたが、今までのところ、すべての種が完全に途絶えたことはありません。ほんのわずかに生き残った種が進化し、また次の命を育んできたからこそ、いま、私たちが生きているのです。
今回は、前編・後編にわたって生き物の絶滅の歴史を振り返ることで、私たち人間を含めた生き物たちの生き残りのヒントを探ってみたいと思います。
前編では、人間のせいで絶滅してしまった生き物の例や、現在の生き物を取り巻く環境、絶滅危惧種の保護などについて紹介しました。後編では、生き物の絶滅の理由から探る私たちの生き残りのヒントや、地球環境の保全と人類の存続のための取り組みを紹介します。
生き物が絶滅した理由から、私たち人間が生き残るヒントを探してみましょう。
狭い地域にしか生息していなかった生き物は、住んでいる土地が天災に見舞われた際に一気に絶滅してしまうことがあったようです。人間は地球上に広く分布していますので、その点では絶滅の心配はなさそうですね。
一種類の植物や虫など、決まったものしか食べなかった生き物は、食料としている生き物がいなくなってしまうと飢餓状態になり、絶滅してしまったようです。人間という種が長く繁栄しているのは、雑食であることも関係しているかもしれませんね。
さまざまな病気が原因で、瞬く間に同じ種の仲間に感染が広がり絶滅してしまった生き物もいました。私たち人間も今までに多くの仲間を病気により失ってきましたが、以前は助けられなかった命でも、医療の進化により治療できる病気が増えています。
生き物が絶滅する原因のほとんどは、火山の噴火や隕石の落下など、地球環境の急激な変化です。そこまでの天災には私たちも為す術がないかもしれませんが、豪雨や地震などを予測し、備えることで被害を最小限にするができます。
今までさまざまな理由で多くの生き物が絶滅してきましたが、私たち人間は幸いにも、過去に学び、未来に備えるという知力を備えています。そして知識をもとに技術を発展させるために協力できる、多くの仲間がいます。
ここからは、私たちがこれからも繫栄していくため、また、地球環境の保護のために世界規模で取り組んでいる活動について紹介します。
これまでも、世界中の子どもの命と健康を守る国連機関のユニセフ(国連児童基金)や、世界規模で環境問題について議論した国連人間環境会議、地球温暖化対策について話し合われた国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)など、各国が参加してさまざまな取り組みが行われてきましたが、新たに設定されたのが「持続可能な開発目標(SDGs)」です。
SDGsは、最近では日本でもさまざまな企業や団体が積極的に取り入れており、皆さんも耳にしたことがあるかもしれません。ここで改めて、SDGsの目的と概要について見ていきましょう。
2015年9月、ニューヨークの国連本部で開催された「持続可能な開発サミット」で、“地球の環境保全とすべての人が平和と豊かさを享受できる世界”を実現するために、193の国連加盟国により採択されました。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基礎をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
上記、17の目標は気候変動や経済的不平等、持続可能な消費、平和と正義などの、世界で協力して解決すべき課題が盛り込まれています。これらの目標は決して政府や企業だけが取り組めばいいというものではありません。人間を含めたすべての生き物と、地球の資源を守るために、私たちひとりひとりの行動なしには成しえません。日常でできるほんの些細なことからでも、私たちにできることは何か、この機会に家族で話し合ってみるのもいいですね。
ここまで、前編・後編にわたり、地球で繰り広げられてきた生き物の滅亡の歴史や、現在のいきものを取り巻く環境を紹介し、これからも私たちが生き延びる術について探ってきました。人間は決して地球の家主ではありません。今を生きるほかの生き物たちとともに、ほんの一時、地球に住まわせてもらっているに過ぎないのです。この豊かな星を次の世代に残すために、地球の資源や生き物たちを大切にしていきたいですね。
参考図書:ダイヤモンド社「わけあって絶滅しました。-世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑」監修 今泉忠明
参考サイト:国連開発計画
参考サイト:イマココラボ