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【職業紹介シリーズ】世界の名作を届ける『映画バイヤー』の仕事
2025年03月26日
みなさん、こんにちは!今回の職業紹介シリーズでは、あまり知られていないけれど、映画業界の裏側で重要な役割を果たしている「映画バイヤー」という仕事について紹介します。映画が好きな人にとっては憧れの職業かもしれませんね。それでは早速、映画バイヤーの世界をのぞいてみましょう!
映画バイヤーとは、映画祭や国際マーケットに出向き、様々な映画の配給権を購入する専門家です。私たちが映画館やストリーミングサービスで見ることができる海外映画は、実はこの映画バイヤーたちが世界中から選りすぐって買い付けてきたものなんです。
映画バイヤーは、主に映画配給会社や映画館チェーン、テレビ局、ストリーミングサービスなどで働いています。彼らの仕事は、カンヌ映画祭やベルリン国際映画祭、トロント国際映画祭など世界各地の映画祭に参加し、まだ一般公開されていない新作映画を観て、自分の会社が配給するべき作品を見つけることです。
映画バイヤーは単に「面白そうな映画」を選ぶだけではありません。その映画が自社のターゲット視聴者に合っているか、商業的に成功する可能性があるか、日本の観客に受け入れられるか、などを総合的に判断します。そして、交渉を重ねて配給権の購入価格や配給条件を決定していきます。
映画バイヤーは映画の目利きであると同時に、ビジネスのプロでもあるのです。映画の芸術性と商業性、両方を見極める力が求められる、とてもやりがいのある仕事だといえるでしょう。
世界中の新作映画にいち早く触れられる
映画バイヤーの最大の魅力は、一般の観客よりもずっと早く、時には公開の1年以上前に新作映画を見ることができることです。映画祭では、まだ完成したばかりの作品や、一般公開前の作品が数多く上映されます。映画好きにとっては、まさに夢のような環境ですよね。
さらに、監督や俳優、プロデューサーなど映画業界の人々と直接会話する機会も多く、映画製作の裏側や込められた思いを直接聞くことができます。これは一般の観客では得られない特別な体験です。
映画業界のトレンドを作り出せる
映画バイヤーは、「どの映画を日本に紹介するか」を決める重要な役割を担っています。つまり、日本の映画ファンがどんな海外作品に触れることができるかは、映画バイヤーの目利き力にかかっているのです。
あなたが見つけた無名の監督の作品が、日本で大ヒットして話題になることもあります。また、世界的に評価の高い作品を日本に紹介することで、日本の映画文化の発展に貢献することもできるでしょう。自分の選んだ映画が多くの人に感動を与え、時には社会現象になることもあるのです。
世界中を旅しながら働ける
映画バイヤーは、カンヌ、ベルリン、トロント、ヴェネツィア、サンダンスなど、世界各地の映画祭や映画マーケットに出張します。映画祭は世界中の魅力的な都市で開催されることが多いため、仕事をしながら世界各地を訪れることができます。
異なる文化や考え方に触れることで視野が広がり、それが映画を見る目にも良い影響を与えます。また、世界中の映画業界の人々とのネットワークを築くことができるのも大きな魅力です。
膨大な数の映画から選定する責任の重さ
映画バイヤーの仕事の大変さの一つは、膨大な数の映画から限られた本数を選ばなければならないことです。例えば、カンヌ映画祭では、メイン部門だけでなく、マーケットやサイドイベントも含めると、数百本の映画が上映されます。その中から、自社に合う作品を見極め、予算内で買い付けるのは非常に難しい判断が求められます。
選んだ映画が興行的に失敗すれば、会社に大きな損失をもたらすこともあります。逆に、良い作品を見逃してしまうと、他社に先を越されてしまうこともあるのです。このプレッシャーは常に付きまとうものであり、精神的な負担も小さくありません。
不規則で忙しい生活スタイル
映画祭期間中は朝から晩まで上映スケジュールが組まれており、一日に3〜4本の映画を観ることも珍しくありません。その合間に業界関係者とのミーティングや交渉もこなさなければならず、食事の時間すら惜しむほど忙しい日々を送ることになります。
また、世界各地への出張が多いため、時差ボケや長時間フライトによる疲労と常に戦わなければなりません。家族や友人と過ごす時間が限られてしまうのも現実です。体力的にも精神的にもタフさが求められる職業だと言えるでしょう。
映画バイヤーになるためには、特定の資格は必要ありませんが、いくつかの重要なスキルや知識が求められます。
まず、何と言っても映画に対する深い知識と理解が必要です。映画の歴史や様々なジャンル、監督や俳優についての知識はもちろん、映画業界全体の仕組みを理解していることが大切です。大学で映画学や映画史を専攻するのも一つの方法ですが、実際には映画をたくさん見て、自分なりの「目」を養うことが最も重要です。
次に、ビジネススキルも欠かせません。映画バイヤーは芸術作品を扱いますが、同時にビジネスパーソンでもあります。配給権の交渉には、契約や著作権に関する知識、交渉術、マーケティングの感覚なども必要です。経営学やマーケティングを学ぶことも役立つでしょう。
語学力も重要なスキルの一つです。特に英語は必須で、国際映画祭では英語が共通言語として使われています。さらに、フランス語やスペイン語など、他の言語ができればそれだけ交渉の幅も広がります。映画は字幕なしで理解できるレベルの語学力があると理想的です。
実際に映画バイヤーになるルートとしては、映画配給会社や映画館チェーン、テレビ局などでの就職が一般的です。最初は宣伝部や営業部などで経験を積み、少しずつ映画の選定に関わるようになっていくケースが多いようです。映画祭でのインターンシップやボランティアなども、業界とのつながりを作る良い機会になります。
また、映画批評家やジャーナリストから映画バイヤーに転身する人もいます。映画を観て分析する力が評価され、バイヤーとして声がかかることもあるのです。
映画バイヤーになる道のりは決して簡単ではありませんが、映画が好きで、その魅力を多くの人に伝えたいという情熱があれば挑戦する価値は十分にあります。
映画バイヤーは、私たちが映画館やストリーミングで観ることができる映画の「選択肢」を作り出す重要な仕事です。自分の選んだ映画が多くの人に感動を与え、時には人生を変えるきっかけになることもあるのです。
皆さんの中にも、将来、映画バイヤーとして活躍する人が出てくるかもしれませんね。そんな日が来ることを楽しみにしています!