KATEKYO知恵袋
子どもの花粉症が増加!ならないための予防と発症時の対策をご紹介
2024年02月07日
春や秋に悩まされる人が多い花粉症。いまや日本人の3人に1人はスギ花粉症といわれています。スギ花粉の2024年春の飛散量は、例年(過去10年の平均)に比べると、九州から東北ではほとんどの地域で例年よりやや多くなるとみられており、 とくに北海道は非常に多い見込みです。 花粉の飛散量は前年夏の気象条件が大きく影響します。 気温が高く、日照時間が多く、雨の少ない夏は、スギの花芽が多く形成されて翌春の飛散量が多くなる傾向があります。
今年も花粉症の方は症状に悩まされる春になりそうですが、実は大人だけでなく、子どもも花粉症になるのをご存知ですか。子どもの花粉症は年々増えているといわれ、アレルギー性鼻炎ガイド(2021年版)によると、スギ花粉症をもっている子どもの割合は、0〜4歳で3.8%、5〜9歳で30.1%、10〜19歳で49.5%です。特に5〜9歳の有症率の増加は著しく、この約10年で2倍以上増えています。
そこで今回は、子どもの花粉症の原因や、花粉症にならないための予防策、花粉症になったときの対策をご紹介します。
花粉症は、以下のようなメカニズムで発症します。
アレルギーの原因となる花粉(アレルゲン、抗原)が鼻や目から体内に侵入する
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体が花粉を異物とみなすことで、戦うための抗体(IgE抗体)を作る
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再び花粉が体内に入ると、体で作られた抗体と結びつき、化学物質(ヒスタミンなど)が分泌される
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その結果、花粉をできるだけ体外に排出しようという働きにつながり、くしゃみや鼻水、涙などが出る
花粉がどれだけ体に入ってきても、抗体が作られなければ花粉症にはなりません。抗体のできやすさは人それぞれなので、たくさん吸い込んでも抗体ができづらい人もいれば、少量でも抗体ができやすく、子どものうちから花粉症を発症する人もいます。とはいえ、花粉を吸い込んだ経験が蓄積されて抗体が増えていくことで花粉症が発症するので、年齢を重ねるほど発症しやすくなります。
子どもの花粉症が増えている原因は、諸説ありますが、次のようなものが代表的な原因とされています。
・花粉の飛散量が増えている
・現代人の粘膜の働きが弱くなっている
・動物や植物に触れる機会が減っていることで、自然のものに対する免疫力が低下している
花粉症を予防する1番の方法は、花粉を吸い込まないことです。子どもがまだ花粉症を発症していない場合は、下記のような方法で対策しましょう。家族みんなで取り組む必要があるので、できることから始めてみてください。
<外出時の対策>
・花粉が飛んでいる時期は、メガネ、マスク、帽子などで花粉をガードする
マスクは吸い込む花粉をおよそ1/3から1/6に減らし、症状を軽くする効果があるといわれています。とくに大事なのは、マスクに隙間ができるとそこから花粉が入ってしまうので、フィットするものを選ぶことです。また、花粉対策用のメガネは花粉が目に侵入するのをある程度減少させる効果があります。
・花粉が飛んでいる時期は、花粉がつきにくいツルツルした素材の服を選ぶ
一般的にウール製の衣類などはナイロンなどの化学繊維に比べ花粉が付着しやすく、花粉を屋内にも持ち込みやすいので、外出の際には花粉がつきにくい素材のものを選びましょう。また、頭や顔など露出している部分には花粉が付着しやすいですが、つばの広い帽子をかぶることで付着する量を減らすことができます。
・風邪が強い日、雨の日の翌日など花粉の飛散量が多い日は外出を自粛する
・帰宅したら家に入る前に服についた花粉を払い落とす
・帰宅後は手洗い、うがい、洗顔を行う
<室内の対策>
・花粉が多い日は洗濯物を屋外に干さない
・部屋を適度に加湿する
・こまめに部屋を掃除する
・空気清浄機を24時間稼働させる
・換気の際は窓を全開にしない
<免疫力を高めるための対策>
・しっかりと睡眠をとる
・栄養バランスのよい食事をとる
・できるだけストレスを溜め込まないようにする
花粉症の一般的な症状はくしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみですが、悪化すると皮膚症状・頭痛・うつ、などといった症状も現れます。また、ぜん息が悪化したり、果物を食べると口のかゆみなどが生じる口腔アレルギーも起こることがあります。症状がひどくなってから対策を始めるのでは遅いため、症状が出る前から対策することが大切です。
花粉症の対策は、基本的には予防と同じように「花粉との接触を避けること」が基本です。子どもに花粉症の症状が出る前でも、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎など、何らかのアレルギーがある場合は、花粉に対してもアレルギー症状がでやすいことがありますので、早めに対策を講じて花粉症の発症を予防しましょう。
最近では薬局やドラッグストアでも、のみ薬、点鼻薬、点眼薬など、多くの花粉症向け市販薬が取り扱われるようになりました。しかし、子どもへの市販薬の使用は使用量などに注意が必要な薬もありますので、花粉症の症状が現れた場合にはまずは医療機関を受診し、アレルギー検査を受けて原因を特定し、子どもの症状・体質にあった薬を処方してもらうことをおすすめします。
花粉が飛ぶシーズン中に医療機関で行われる花粉症の治療は大きく分けると以下の通りです。
のみ薬
点鼻薬
点眼薬
注射(抗IgE抗体療法)
くしゃみ・鼻水に効くとされる「抗ヒスタミン薬」や効果が強いとされる「鼻噴霧ステロイド薬」は市販でも手に入りますが、年齢制限や有効成分の含有量が少ないものもあり、また、1日1回の投与で良い鼻噴霧ステロイド薬、あるいは鼻づまりにも効果が強いとされる抗ヒスタミン薬などは、現在は医療機関でしか手に入りません。
・重症の場合に検討する抗IgE抗体療法(注射)
抗IgE抗体療法は2020年に保険適用となった新しい治療法です。重症のスギ花粉症患者が対象になる注射で、気管支ぜんそくや原因不明の慢性じんましんなどで使われている「オマリズマブ」という薬を注射するもので、月に1~2回、3か月ほど継続して使用します。効果はそのシーズン限りとなりますが、処方薬で効果がなかった人でも、症状を軽減させる効果が期待できます。
以上、今回は、子どもの花粉症が増えている理由や予防策、発症後の対策、そして医療機関での治療についてご紹介しました。花粉の飛散が増えているこの時期、まだ花粉症になっていない人も、日頃から花粉対策を行って花粉症の予防をしましょう。
参考:キッズドクター、NHK健康チャンネル