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災害大国日本!江戸の災害対策と令和のデジタル防災とは?

2023年08月23日

ここ数年、自然災害が増加していると感じる人が多いのではないでしょうか?国連が発表した報告書によると、この20年間で世界各地の自然災害の発生頻度は、前の20年のほぼ2倍に急増しており、その原因は気候変動による影響が大きく、今後このレベルの自然災害が続けば、世界はより住みにくい場所になると警告しています。さらに、2000~2019年までの20年間で特に災害が多かった上位10か国のうち、アジア諸国は8か国を占めており、日本を含むアジアにとって、自然災害に対する防災対策の重要性は、今後も増していくことが予想されます。

 

そこで今回は、昔から「災害大国」といわれている日本の防災対策について、現在の防災・減災の基となった江戸時代の対応と、令和の最新式デジタル防災をご紹介したいと思います。

江戸時代の防災

「火事と喧嘩は江戸の華」といわれるほど、江戸時代といえば火事が多く起きていましたが、巨大地震も多く発生しました。なかでも、1707(宝永4)年に起きた「宝永地震」は、富士山の大噴火につながったことで知られています。富士山から噴出した火山礫(かざんれき)や火山灰などは、江戸や房総半島にまで降り注ぎました。1855(安政2)年に発生した「安政江戸地震」も、歴史に残る大地震です。荒川の河口付近を震源としたマグニチュード6.9と推定される直下型の地震で、本所、深川、浅草、下谷といった地盤の軟弱な地域を中心に民家の倒壊1万4,000戸といわれる甚大な被害を出しました。

 

安政江戸地震発生時には、これまでの震災を教訓に素早い復興が行われました。幕府は地震の当日に早くも、握り飯などの炊き出しを行うこと、仮設避難所を設けること、買い占めを禁止すること、物価や人件費の値上げを禁止することなどを決定しています。とくに、「お救い小屋」と呼ばれる仮設避難所には、火災の際に破壊消防を行ったのちに、壊した家をすぐに復旧できるように材料がストックされ、建設方法もマニュアル化されていたため、早期に建設することができました。

 

このように、江戸の人々は限られた条件の中でも、大災害が発生するたびに組織を整え、町を整え、計画を整えながら、“防災都市”を築き上げていきました。過去の災害の経験を糧にするこの姿勢は、現代の防災・減災対策にも受け継がれていることでしょう。

デジタル技術を駆使した令和の防災

人工知能(AI)をはじめとしたIT技術は、私たちの暮らしの様々な場面で活用され始めています。この技術を災害の把握や予測に活用しようという、「防災のデジタル化」も既に始まっています。

 

そのひとつが、「デジタルツイン」という技術です。

デジタルツインとは、現実にある建築物や街、自然の地形などをデジタル空間上で“ツイン”つまり“双子”のように再現するものです。

 

CGのような見た目だけでなく、マンションの居住人数や家族構成、建物の構造や耐震化の状況、時間帯による交通量、工場のCO2の排出量など、さまざまなデータを取り込み、現実の街の姿をデジタル空間の中に再現します。

 

街を再現することで、いろいろなシミュレーションを行うことができます。例えば、工場から煙を排出したときに、風速などによって、二酸化炭素がどの程度公園まで来るのかを計算したシミュレーションの結果により、現実の「変革」ができるようになります。工場の例でいうと、現実の排出量をどう規制して変えていくかを決めるなど、対策を考えることができます。

 

さらに、デジタルツインの活用の幅は広がっており、東京の高層ビルで火災が発生したらどうなるか。どこに避難する人びとが滞るのか、人の流れをシミュレーションしたり、降雨予報に基づいて、各都道府県でどのくらいの被災者が出るのかを推定し、自治体の職員1人がカバーする被災者数を予測。これにより自衛隊や医療従事者などの支援の規模を事前に把握したりするなど、災害対策で先手を打つ「攻めの防災」が可能になります。

進む防災の無人化

2011年の東日本大震災以降、ロボットを遠隔地から操作しさまざまな作業を行う、災害対応ロボットシステムの研究や開発も進んでいます。

 

レスキューロボットの最初の目的は人命探索でしたが、遠隔地から操作できる特長を活かし、人間が入ると危険な場所での作業や観測を行うことで、二次被害の予防や復旧作業にも活躍の幅を広げています。

 

ドローンはすでに災害時の被害状況の把握や情報収集に活用されています。被災地に取り残された人を上空から発見したり、支援物資を運んだりといった使い方も可能です。

 

低コストで小回りがきくドローンは、広範囲に飛行できるため、日頃から災害リスクがある場所を監視することで、災害予測や早期警告につなげられます。

 

消防署でもドローンや無人型ロボットの導入が進んでいます。大規模な火災が発生すると、まず、上空からドローン型ロボット、地上から偵察ロボットが消火の必要な場所を判断。その情報は放水角度や向きの計算にも利用されています。

 

 

以上、今回は災害大国日本の、日々進化する防災についてご紹介してきました。技術の進歩による災害対策の発展は頼もしい限りですが、それに頼るだけでなく、私たちも自ら情報を得て、万が一に備えておきたいですね。

 

おまけ:身の回りの災害リスクや災害時の備えを確認してみましょう!

<首相官邸公式ホームページ>災害に対するご家庭での備え

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html

 

身の回りの災害リスクを調べる

<国土交通省>ハザードマップポータルサイト

https://disaportal.gsi.go.jp/

 

参考:NHK「明日をまもるナビ」、NTTファシリティーズ

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