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【職業紹介シリーズ】未知なる宇宙へ!『宇宙飛行士』の仕事とは?
2023年07月12日
果てしない宇宙の彼方に、新しい発見を求めて羽ばたく探求者。宇宙飛行士は、人類の探求心と進化の象徴として、宇宙への旅を果たす特別な存在です。彼らは地球を離れ、重力のない宇宙空間で仕事をし、宇宙ステーションや宇宙船でさまざまなミッションを遂行します。
宇宙への情熱と科学の進歩が融合したこの魅力的な職業について、さまざまな側面を紐解いていきましょう。
宇宙飛行士の仕事は、宇宙空間での科学研究や宇宙ミッションの実施など、多岐にわたります。以下に宇宙飛行士のおもな仕事をいくつかご紹介します。
宇宙ミッションの遂行: 宇宙飛行士は、宇宙船や宇宙ステーションに搭乗し、与えられたミッションを実施します。具体的には、宇宙船の運用や整備、宇宙ステーションでの滞在、科学実験の実施などが含まれます。彼らは、地球から離れた環境での作業や調査を通じて、宇宙探査の進歩に貢献しています。
宇宙科学研究: 宇宙空間での研究活動にも宇宙飛行士は一役を買っています。彼らは、宇宙ステーションや宇宙船内でさまざまな科学実験を行い、物理学、生物学、医学などの分野で重要なデータや知見を収集します。これにより、地球の環境や宇宙の謎を解明し、人類の知識を広げることが目指されています。
宇宙技術開発: 宇宙飛行士は、新しい宇宙技術や装置の評価、開発にも携わっています。宇宙環境下でのテストや実験を通じて、宇宙船や宇宙ステーションの機能向上や安全性の確保に努めているのです。さらに、将来的に有人宇宙飛行や宇宙探査に向けた技術の開発にも取り組んでいます。
地上での教育活動: また教育活動にも積極的に参加し、地上にいる際には学校やイベントでの講演やメディアへの対応を行うのも宇宙飛行士の欠かせない仕事です。まだまだ宇宙について解明されていない部分も多く、世間でも「よく知らない」という方も多くいます。
そんな人に向けて宇宙の魅力や新しい情報を届けるのは、実際に行ったことのある宇宙飛行士だからこそできる仕事なのです。
では実際に宇宙飛行士になったとき、どんな魅力を得られるのでしょうか。
以下にいくつかの魅力を挙げてみます。
地球の外から見た地球の美しさ
なによりも魅力的なのが、宇宙飛行士は宇宙空間から地球を眺める唯一の特権を持っていることです。地球の美しさを目の当たりにし、宇宙からの視点で地球環境や地球の生命の尊さを実感することができます。そして周りを見れば、地球にいるときよりも更に広がる宇宙空間と星々を知ることもできるでしょう。選ばれた人にしか見られない、広大な宇宙を堪能できるのは宇宙飛行士になる最大の魅力といえるのではないでしょうか。
宇宙への探求心の追求
宇宙飛行士は、人類の未知の領域である宇宙への旅を実現する特別な存在です。これまで、宇宙の神秘や謎を追求し、宇宙空間での研究や活動を通じて、人類の知識は進化してきました。また宇宙空間での作業やミッションにおいて、最先端の技術や装置を使用しています。宇宙飛行士になれば、新しい技術の開発や評価に関与し、人類の技術の進歩に貢献することができます。
国際協力と次世代へのインスピレーション
宇宙飛行士は、国際的な宇宙プログラムに参加し、異なる国や地域の宇宙飛行士と協力します。多文化な環境での仕事や訓練を通じて、チームワークや国際協力の重要性を学び、交流を深めることができます。
また宇宙飛行士は、多くの人々にとって憧れの存在です。若い世代や将来の科学者、宇宙探査者に対して、夢と希望を与える存在としての役割を果たします。自身の経験や物語を通じて、次世代を啓発し、インスピレーションを与えることができます。
約80億を超える世界人口のなかで、宇宙飛行士として飛行した人はたったの595人(※1)。
限られた人にしか味わえないやりがいと達成感は一生の財産となり、一生忘れられない貴重な体験となることでしょう。
(※1参考:JAXAホームページ)
宇宙飛行士になることの大変さ
魅力ややりがいを強く感じられる一方で、宇宙飛行士になることは非常に困難で厳しい道のりです。以下に、宇宙飛行士になることの大変さをいくつかご紹介します。
高い競争率と厳しい選抜プロセス
例年、宇宙飛行士の候補者は多く、競争率は非常に高いものとなっています。各国の宇宙機関が厳しい選抜プロセスを行い、候補者の能力や適性を評価します。身体的な条件、専門的な知識、技術的なスキル、リーダーシップ能力など、さまざまな要素が求められています。
また、宇宙飛行士になるためには、長期間の厳しい訓練が必要です。訓練は身体的なトレーニングから宇宙機器の操作まで幅広い領域をカバーし、過酷な環境下での生存能力やストレス耐性、危険への対応力などが求められます。
実際に宇宙に旅立つとなれば、宇宙ミッションの準備にも多くの時間と努力が必要となります。
長期間の宇宙滞在によるリスクと危険への直面
宇宙飛行士は、宇宙ステーションなどでの長期滞在が求められる場合があります。
長期間の宇宙滞在は、身体的な負荷や健康への影響、宇宙飛行士の精神的な健康への影響をもたらす可能性があり、宇宙環境の無重力や放射線の影響、孤独やストレスとの戦いなど、さまざまな困難に対処しなければなりません。
ときには、ミッション中に予期せぬ事態や危険に直面することがあるかもしれません。宇宙飛行は高リスクの活動であり、事故や故障、宇宙空間でのトラブルなど、常にリスクと危機管理を想定し、臨機応変に対応する能力が求められます。
宇宙飛行士は、誰もがなれる職業というわけではありません。
以下の手順に従って、その資格を得ることができます。
1、応募資格の確認 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が宇宙飛行士の募集を行う際に、年齢制限や身体的条件など、条件を満たしているか確認します。
2、応募と選考プロセス JAXAの募集要項に基づいて応募し、選考プロセスを進めます。一般的には書類選考、筆記試験、面接、医学的評価、身体能力テスト、心理検査などが含まれます。
3、訓練プログラムの参加 選考に選ばれた場合、JAXAの訓練プログラムに参加します。このプログラムでは、宇宙関連の知識や技術、宇宙飛行に関する訓練、生存訓練などが行われます。
4、経験を積み重ね宇宙へ 宇宙飛行士になるためには、関連する経験を積むことも重要です。研究や開発プロジェクトへの参加、宇宙関連のイベントや会議への参加など、宇宙に関わる活動に積極的に参加しましょう。
詳しくは、JAXAのホームページより選考方法などを確認しておくとよいでしょう。
(引用元:JAXA『2021 年度 宇宙飛行士候補者 募集要項 』より)
魅力も大変さも兼ね備えた宇宙飛行士の仕事。実際に目指すとなると、かなり高いレベルのスキルと経験が求められるのでは?と予想されますよね。
しかし、2021年にJAXAが発表した「宇宙飛行士候補募集要項」によると、
(1) 2021年度末(2022年3月末)の時点で、3年以上の実務経験を有すること※1。
(2) 以下の医学的特性を有すること。
身長 149.5-190.5㎝
視力 遠距離視力 両眼とも矯正視力1.0以上
色覚 正常(石原式による)
聴力 正常(背後2mの距離で普通の会話可能)
というように、学歴問わず、高卒や中卒の人でも応募することが可能となりました!
選抜試験の際に、英語や一般教養といった筆記試験を受けなければなりませんので、必要な方はあらかじめ勉強しておくとよいでしょう。
また注意点として、宇宙飛行士の募集は一定の周期で行われるため、JAXAの公式ウェブサイトや関連情報源を定期的にチェックすることが重要です。条件が緩和されたとはいえ、宇宙飛行士になる道は競争が激しく、選ばれるのは限られた人だけです。
夢を持ち続け、必要なスキルや知識を積み重ねることで、宇宙飛行士になる可能性を追求できるでしょう。
宇宙飛行士の仕事は決して容易ではありませんが、その魅力は限りなく大きいものです。
未知の世界への探求心や科学への情熱を持ち、困難に立ち向かう覚悟を持つ人々にとって、宇宙飛行士は夢のような仕事かもしれませんね。
ぜひ興味のある方は、JAXAのホームページなどをこまめにチェックしてみてくださいね。