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逆さ吊りの刑が由来⁉夏休みに親子で話したい「お盆」の豆知識
2022年07月27日
毎年、当たり前のように迎える「お盆」ですが、その由来を知っていますか?
今回はお盆に行う習わしや、いまや夏の風物詩となっている花火についての由来を紹介します。意外と知らない豆知識が出てくるかもしれません。夏休みの自由研究のヒントや、家族や友達との会話のきっかけにしてみてください。
お盆の正式名称は、盂蘭盆会(うらぼんえ)または盂蘭盆(うらぼん)といい、「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」というお経が由来といわれています。
「うらぼん」は日本語では聞きなれない響きですが、サンスクリット語で「逆さ吊りの苦しみ」を意味する「ウラバンナ」からきています。
このお経のもととなるエピソードがあります。
釈迦の弟子である目連(もくれん)は神通力で亡き母が地獄で逆さ吊りの刑をうけていることを知ります。
なんとかして母を救済できないかと思い、釈迦に教えを乞いました。
すると釈迦は「夏の修行を終える旧暦の7月15日(現在の8月中旬ごろ)にすべての修行僧に食べ物や飲み物を施せば、その功徳により母を救うことができよう」と伝えます。
この亡き母への供養の言い伝えが日本に伝わり、旧暦の7月15日に先祖供養の行事として、盂蘭盆会が行われるようになったといわれています。
お盆の時期に家の前で火を焚く様子を見たことはありませんか?これは「迎え火と送り火」といい、お盆の習わしのひとつです。
迎え火は旧暦の7月13日の夕方か夜に行われることが多く、ご先祖様の霊が現世に帰ってくるときに迷わずにたどり着けるようにといった意味が込められています。中には、墓から家まで提灯で明るく照らす地域もあります。
送り火は、旧暦の7月15日か16日の夕方か夜に行われることが多く、お盆の間に一緒に過ごしたご先祖様の霊を送り出すもので、行うこと自体は迎え火と同じです。ご先祖様が無事に帰れることをお祈りします。
町ごとに行われることが多い「盆踊り」は、私たちにとって身近な夏祭りのイメージがありますが、実はご先祖様を供養するための行事でした。
盆踊りが行われていたのは旧暦の7月15日の夜、ご先祖様があの世に帰る最後の夜です。
現代では少なくなりましたが、昔は夜通し行い、最後の夜にご先祖様を盛大にもてなす行事でした。
その歴史は平安時代にさかのぼります。お盆に帰ってきた先祖を供養するために空也上人によって始められた、念仏を唱えながら踊る念仏踊りがルーツであると考えられています。鎌倉時代には宗教的な意味合いよりも民俗芸能としての意味合いが強くなり、全国に広がりました。そして、室町時代のはじめには、太鼓などをたたいて踊るようになり、現代の形に近づいたといわれています。
元来、花火は慰霊や疫病退散が目的の行事だったようです。
一説によると、花火はお盆に行われる送り火、迎え火の一種ともいわれており、ご先祖様の霊を送り迎えする意図があったようです。
本格的な花火大会が始まったのは1733年の徳川吉宗が将軍だった頃とされています。
当時は「両国の川開き」と言われており、5月28日から8月28日までの期間には頻繁に花火を打ち上げていたようです。1978年からは隅田川花火大会と名前を改め、今なお多くの方々に親しまれています。
日本各地で開催されている花火大会の中には、今でも供養を目的とした供養花火が多数あります。
今回は夏の風物詩の行事の由来を紹介しましたがいかがでしたか?
とくに暑い今年の夏、ご先祖様への供養と疫病退散を願いつつ、健やかに過ごせますように。