KATEKYO知恵袋
一億部超えの大ベストセラー!奥深い【国語辞典】の世界(後編)
2022年05月06日
国語辞典は、誰もが一度は手にしたことがある身近な本ですが、小説のように読んでみたい!と思って選んだことがある人は少ないのではないでしょうか?国語辞典は大手出版社から複数出版されていますが、実はその内容はバラバラなんです!知っているようで意外と知らない国語辞典の魅力を前編と後編にわたってご紹介します。
前編では、実際に国語辞典に書いてある言葉の説明を例に、各辞書の違いを見てきました。また、現在の国語辞典のルーツは明治時代にできた「言海(げんかい)」であることをご紹介しました。後編では、国語辞典選びの参考になる情報をご紹介します。
前編でもご紹介しましたが、辞書にはそれぞれ、編集部の想いが込められたコンセプトがあり、そのコンセプトによって辞書の内容が決まります。『れんあい【恋愛】』という項目を例に、辞書によってどれくらい違いがあるのかを比較してみましょう。
【岩波国語辞典】
男女間の、恋いしたう愛情。こい。
【新明解国語辞典】
特定の異性に対してほかの全てを犠牲にしても悔いは無いと思い込むような愛情をいだき、常にその相手のこと思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身を置くこと。
このように、言葉の意味を説明する文章ひとつとってみても、辞書ごとに表現が違います。ですから、「誰にとっても絶対正しい辞書」というものはありません。あなたの辞書の使い道が、文章を書くときに言葉を調べる用なのか、本を読むときに読み方を調べる用なのか、専門用語を知りたいのかなど、ニーズによって選ぶ辞書が変わります。
現在、大手出版社の国語辞典だけでも、ざっと10冊以上の国語辞典があります。辞書を選ぶ際は書店で読み比べてみるのが一番良い方法ですが、やみくもに辞書を読むのも大変だと思いますので、今回はその中から3つの国語辞典の特徴をご紹介します。あなたの辞書選びの参考になりますように!
【岩波国語辞典】
日本語学会をリードしてきた自負あり!
伝統と格式を重んじる超スタンダードな一冊
俗語・新語に保守的
【新明解国語辞典】
辞書に新しい付加価値を!チャレンジし続ける開拓者
豊富な用例やアクセントなど、「言葉の意味を確認する」以外の情報も掲載
現代語に積極的
【明鏡国語辞典】
ネットスラングを読み解くヒントにも!ハウツー本のような辞書
派生語や誤用、敬語の使い方など、言葉の使い方も教えてくれる頼りになる一冊
俗語・新語に積極的
以上、3冊の特徴をご紹介してみましたがいかがでしょうか?
“どれも気になって1冊に絞れない”というあなた!1冊に絞らなくてもいいんです。
辞書は2冊持っていてもいい!では、その理由をみていきましょう。
先ほど、『れんあい【恋愛】』の項目でご紹介したように、辞書ごとに言葉の意味が違うことがあります。
もし辞書を1冊しか持っていなければ、その辞書に書いてあることがすべてだと思い込んでしまうかもしれませんが、2冊以上あれば、同じ言葉を比較してみて、さらに、自分にとっての「恋愛」とはどういうことなのかを考えることができます。いろいろな情報を比較し、自分でも考えてみる。それこそが「知る」ということではないでしょうか。
ここまで、国語辞典の魅力や歴史、選び方をご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?久々に、お持ちの国語辞典のページをめくってみてください。
読めばさらに辞書が好きになる!おすすめの本をご紹介します。
【舟を編む】三浦しをん/著
映画化、アニメ化もされた本屋大賞受賞作。
営業部でなかなか活躍できずにいた不器用な社員、馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。辞書完成までの彼らの15年間を綴った感動作。
【学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方】サンキュータツオ/著
辞書200冊超をコレクションする、オタクで学者で芸人のサンキュータツオが、辞書の楽しみ方、選び方、つきあい方を徹底ガイド。