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「本当に英語は単語なのか?」~その読み方で読めますか?
2020年02月15日
プロローグ~「この単語さえ分かれば!」症候群
よく「英語は単語だ!」という言葉を耳にしますが、「本当にそうでしょうか!?」
ある生徒さんとの長文読解の授業風景です:
生徒:「先生、この単語の意味さえ分かれば文の意味が取れそうなんですが。」
私:「ああ、これは○○という意味だよ。」
しばらく考えたのち
生徒:「あ!あと、もう一つだけこの単語の意味さえ分かれば・・」
これが延々と続いても結局、その生徒さんはその文を訳すことが出来ませんでした。
こういうことはよくあり、私は「この単語さえ分かれば症候群」と呼んでいます。単語の意味が全て明らかになっても文が訳せないのはなぜでしょうか?
文法や構文が分からないからでしょうか?確かに単語、文法、構文は文の重要な構成要素です。しかし難しい英文の中ではこれらは一筋縄にはいきません。どんなに学習しても、知らない単語や難解な構文というものには出くわすものです。そして、仮にそれらを全て明らかにしてあげても、文の意味が取れないということはしばしばあるのです。一体何が足りないのでしょう?
「その赤い本禁止!?」~単語でなく文脈を読む
その昔、あるネイティブの先生の長文読解の授業にて:
先生:「その赤い本使っちゃダメ!」(もちろん英語です。)
日本人の生徒たち:「?」
先生:「だから、みんなが持ってるその赤い本だよ!」
先生が言っているのは、当時の日本で定番だった赤い英和辞典のことでしたが、その指示が私たちの苦難の始まりでした。中学、高校とその「赤い本」を携え、「知らない単語に出会ったら敵と思え!」と言わんばかりに片っ端から調べることを教えられてきた私たちにとって、単語を調べられないことは苦痛以外の何ものでもありません。先生はしきりに“prediction!”と連呼していますが、そもそも“prediction”の意味がわかりません。あとで調べたら「予測」という意味でした。どうやら文脈から単語の意味を予測しろと言っているようです。
それからというもの、律儀な私は先生の言いつけを忠実に守り、辞書を使わず、日夜“prediction”に努めました。するとどうでしょう、数回の授業を経たころに突然、難しい長文の意味が取れるようになってきたのです。分からない単語を調べない分、文脈に意識を集中するようになったのが良かったようです。更には単語の意味も、文脈から予測できるようになりました。目からウロコとはこんなことを言うのでしょうか?
文脈をたどった先にあるもの~それは主題(テーマ)
日本語にせよ英語にせよ、文章を読む際に念頭に置くべきは主題(テーマ)です。これが有るのと無いのとでは理解度に大きな差がつきます。従って、長文問題も主題に沿って読むことが肝心です。え?「テストの長文に題名なんか付いてないよ!」ですって?はい、付いていませんね。でも、長文の題名は自分で付けるものなのですよ!
速読のすすめ~読み方で変わる
それでは、どのようにしたら長文の主題を突き止めることができるのでしょうか?その方法は、端的に言えば、分からない部分で止まらずに一定の速度で読み進めることです。その具体的な練習方法を以下に挙げておきますので、是非参考にしてください。
鉄則1.一定の速度で読み進める
CDなどで読み上げる音声よりはかなり遅くてもかまわないので、読み返さずに一定の速度で読み進みます。様々な単語の意味が頭に入ってきて、仮にそれらが意味をなさなくても読み返さず、何らかの意味をなすまで読み進めます。一段落目を読み終えて納得のいく意味がとれなくても、次の段落に読み進みます。
鉄則2.主題を突き止める
このように読み進めていると、どこかで必ず「あれ?これって○○の話しかな?」と思える文が出てきます。そのとき初めて冒頭の段落に戻って最初から読み返します。今度は「○○の話しかな?」と思って読むのです。これが「自分で題名を付ける」ということです。これを念頭に置いて読むことで、読解が有利に進むのです。
鉄則3.意味の分からない単語で立ち止まらない
分からない単語に遭遇すると、どうしても気になってその意味を考えてしまいがちですが、ここで立ち止まってはいけません。立ち止まると何とかして文脈を捉えようとしている流れが途切れてしまいますので、無視して読み進めることが肝心です。分からない単語を穴が開くほどじっと見つめていても意味はわかりません。その答えは読み進めた先にあると思ってください。
エピローグ~目先のものにとらわれない人になる
「へぼ将棋、王より飛車を可愛がり」という格言がありますが、長文で意味の分からない単語や文にばかり集中して主題を疎かにするのはこれに似ています。目先のものにとらわれず、物事の核心に迫れる人になりたいものですね。
この機会に、あなたも長文の読み方を見直してみてはいかがですか?
(韮崎駅前校 K.U先生)