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入試で役立つ化学 アボガドロ定数について

2026年03月07日

今回はアボガドロ定数について書いておこうと思います。

 

前回の記事はこちら→入試で役立つ化学 蒸気圧降下と沸点上昇、凝固点降下について

 

高校生のときに出会った単分子膜の実験

 

 

私が高校1年生のときの1学期の化学実験の授業で、ステアリン酸の単分子膜を利用してアボガドロ定数の測定する実験がありました。今も昔も高校の化学という教科は、中学までの理科とはかなり趣きが違っていて、そのギャップにとまどう生徒は少なくないと思います。高校の化学では理論化学を本格的に学習し始めるので、そのように感じるのでしょうが、私も例外ではありませんでした。さらに、私のクラスの化学の授業を担当されていた先生は、当時の高校の化学の教科書にはなかった発展的な内容、例えば、混成軌道や双極子モーメントなども一生懸命説明されていましたので、なおさらでした。

 

そのような化学の授業が続いて、なかなか説明されていることの全体像を理解することが難しい中で、何をしているのか全く理解できない実験が、このステアリン酸の単分子膜を利用してアボガドロ定数の測定する実験でした。実験に関して質問したいことがわからない状態があまりにも衝撃的で、今でも忘れられない実験です。

 

高校の化学が始まったばかりで、アボガドロ定数がよく理解できていないことに加えて、ステアリン酸とはどんな物質なのか、なぜ単分子膜ができるのかなどの基礎知識もない状態なので、今考えるとよくあの時期にこの実験をしたものだと逆に感心するくらいです。

 

この実験をテーマとした問題

 

この実験をテーマとした問題をあげてみましょう。

 

水面にステアリン酸の希薄溶液を1滴落とすと、分子が水面上に広がりステアリン酸の単分子膜をつくる。その実験で以下の結果が得られた。

ステアリン酸のヘキサン溶液の濃度: 0.0010 g/mL

1滴の体積:0.050 mL

水面に広がった膜の面積: 0.25 m2

ステアリン酸のモル質量: 284 g/mol

ステアリン酸分子は水面に垂直に並ぶとする。

 

ステアリン酸のヘキサン溶液を水面に落とすとヘキサンが蒸発して、ステアリン酸の単分子膜ができるということなのです。ステアリン酸は親水性の部分と疎水性の部分を持っている長い分子なので、上手に1滴落としてあげると、親水性の部分を水面側に、疎水性に部分をヘキサン溶液側にして、ステアリン酸分子が水面とヘキサン溶液に間に垂直に並ぶわけです。この辺の知識は高校1年生にはちょっと無理な気がしますが…

 

1滴の体積を水面に広がった膜の面積で割ると、単分子膜の高さすなわち分子の長さが計算できます。また、ステアリン酸のヘキサン溶液の濃度と1滴の体積、そしてステアリン酸のモル質量から単分子膜内のステアリン酸の物質量が求められます。あと、ステアリン酸分子の体積が与えられれば、アボガドロ定数が計算できることになります。

 

この実験を改めてみてみると、人間が測定できる面積や質量といったマクロな量から、分子のサイズといったミクロな量を求めているので、その点ではとても興味深い実験であります。ただ、この実験ではステアリン酸分子の体積が与えられないとアボガドロ定数が求められません。そこで、ステアリン酸分子の体積を測定できるかですが、簡単ではないです。

 

アボガドロ定数はどうやって求められたのか

 

それでは、アボガドロ定数はどのようにして求められたのでしょうか。歴史的には、ファラデーの電気分解の研究とミリカンの実験によって求められたとされています。ファラデーは電気分解の研究をしながら、1molの電子が流れた時の電気量を約96485C(クーロン)と計算しました。これはファラデー定数と呼ばれています。正確には、ファラデーの時代にはまだ電子が知られていなかった上に、物質量(mol)という概念も確立していなかったので、化学当量という考え方で今でいう電子1molの電気量を測定しています。

 

またミリカンはミリカンの油滴実験と呼ばれる実験で、油の小さな粒に電気をかけて、重力と静電気力を釣り合わせることにより、電子1個の電気量を割り出すことに成功しました。これは高校の物理の教科書に紹介されています。電子1個がもつ電気量は1.602 x 10のマイナス19乗(クーロン)です。

 

この2つの研究成果からアボガドロ定数は

96485/(1.602 x 10のマイナス19乗)

として求められます。その後、この結果はブラウン運動やX線回折により、正しいことが示されています。驚くべきことに、アボガドロ自身は自分の名前が付いたアボガドロ定数の値を計算していないそうです。また、この数は10の23乗という巨大な数で、マクロとミクロをつなぐ数ということになりますが、これは原子や分子がものすごく小さいということを表しているとも言えます。

 

アボガドロの分子説

 

教科書に紹介されているアボガドロの業績を見てみましょう。アボガドロには分子説という業績があります。物質は原子を最小単位とするという原子説(ドルトン)では説明できない気体反応の法則(ゲイ・リュサック)をアボガドロは分子説を立てて説明しました。詳しいことは別の機会にしますが、分子説は発表された当初は認められず、アボガドロの死後、認められるようになったそうです。

 

アボガドロの法則

 

さらに、高校の化学の教科書にはアボガドロの法則が紹介されています。これもアボガドロの大きな業績ですが、同温同圧で同体積の気体には、その気体の種類によらず同じ個数の分子が含まれるというものです。これは、試験問題によく出てくる、標準状態で気体1molは22.4Lを占めるということの根拠になっています。

 

今回はアボガドロに関してみてきましたが、こういう化学史に興味がある方は、インターネットでぜひいろいろ調べてみてください。きっと興味深い発見がありますよ。

 

(甲府駅北口校N.S先生)

 

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