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高校古文入門③ 土佐日記「門出」
2025年01月18日
受験シーズンを終え、すこしずつ暖かくなってきました。そろそろ旅立ちの季節となりますね!受験生たちはそれぞれの進路で4月から始まる新生活に向けて、期待に胸膨らむ日々かと思います。そんなことで、今回は古今和歌集の選者でもあり、歌人としても有名な紀貫之によって書かれた『土佐日記』の「門出」についてです。日本で最初の日記文学と言われており、冒頭がとてもユニークですね。
「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。」
現代語訳は、「男も書くという日記というものを、女(の私)も書いてみようと思って、書くのである。」です。ん?どういう事?紀貫之って男性でしょ?とつっこみたくなります。諸説ありますが、当時の日記は、男性によって公的な記録を漢文体で書かれたものが一般的でしたが、女性のふりをして仮名文字を使い私的な出来後を表現豊かに記す試みだったとも言われています。
以下、日記12/21,22日の「あらすじ」と「ポイント」をまとめてみました。
紀貫之は国司として赴任していた土佐(現在の高知県)から任期を終えて京に帰るため、12月21日午後8時ころ出発。すっかり引き継ぎも終え、解由状など受け取り官舎からでて、船に乗るはずの所へ行くと、知人もそうでない人もみな見送りをしてくれる。別れがたく、あれこれ世話をしながら大騒ぎするうち夜が更けてしまった。翌22日、旅路が無事である様に神仏に祈願し、船旅ではあるが馬のはなむけ(送別の宴)をする。身分の上下にかかわらず、皆すっかり酔ってふざけ合い(海のそばで塩が多く腐るはずもないのに)魚が腐ったように酔いつぶれているのが不思議だなと思う。
土佐を出る際に家族や親しい人々と別れを交わしていて、彼がどれほど家族や友人を大切に思っていたかを示しており、また彼の感情的な側面を強調するエピソードとしての面白さが読み取れます。さて、次は文法と解釈のポイントです。
・「男もすなる」の「なる」⇒ 伝聞推定の助動詞、「女もしてみむとてするなり」の「なり」⇒ 断定の助動詞
・「戌の刻」は何時頃か?⇒ 午後8時ころ (正確には19時~21時が戌の刻)
・「ある人」とは誰を指すか?⇒ 紀貫之
・「解由」とは何か? ⇒国司としての任務を適正に終えた証明書
・「ののしる」の現代語訳は?⇒ 「大騒ぎをする」
・「船路なれど、馬のはなむけす。」の面白みは?⇒ この旅が馬での移動ではなく船旅であるのに、馬のはなむけ(送別の宴)をしてくれた、という面白さ
・「いとあやしく、潮海のほとりにて、あざれあへり」とあるが作者はどう思っているのか?⇒ 海のそばで塩が効いていて腐るはずもないのに、まるで腐ったかの様に皆が酔いつぶれているから、不思議に思う。
(甲府駅北口校 M.I先生)
前回の記事はこちら→高校古文入門② 十訓抄「大江山」
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