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高校古文入門②  十訓抄「大江山」

2024年11月23日

 

 

永らく続いた猛暑もそろそろひと段落し、秋の気配がする頃になりました。秋分も過ぎ段々と日が沈むのが早くなるのを感じる今日この頃、皆さん秋の夜長に何をしますか?

 

定番ではありますがぜひ『読書』をしてほしいなと思います。というのも、読書には意外と体力が必要です。

本を読むときソファーに座るにも床に寝転ぶにも、ずっと同じ姿勢を保つための体幹や、眼精疲労を起こさない眼筋(なんと眼には6つの筋肉があるそう!)など、若い皆さんがまだまだそのポテンシャルを持つ今だからこそ、より多くの本を楽しんでほしいです。

 

そんな事言われたって、学校の課題が多すぎて本を読む暇などない!という生徒さんもいるかもしれませんね。ならば、『読書』と『学習』を兼ねて古典作品を読むのはいかがでしょう?

ということで、今回は十訓抄「大江山」について、「あらすじ」と「和歌の押さえたいポイント」をまとめてみました。ちなみに『十訓抄』(じっきんしょう)は、鎌倉時代中期の教訓説話集で、序文には「広く和漢の書物に目を通し、その中から教訓となる話を集めた」と書かれてあります。十か条の教訓を掲げおよそ280話の説話が編纂された本です。

 

【あらすじ】

歌人として才能が世に知られた和泉式部には小式部内侍という娘がいました。母 和泉式部が夫に伴い任地の丹後へ行っている間に、娘の小式部内侍が歌詠みの大会(歌合)の歌い手に選ばれました。これは若い小式部内侍にとっては名誉の大抜擢。彼女の実力を親の七光りでは?と疑いやっかむ定頼中納言が、彼女の部屋の前を通りすぎる際にふざけて「歌合わせで披露する歌を、お母さまの和泉式部に代わりに詠んでもらおうと使いに出した家来はもう帰ってきましたか?」と小式部内侍をからかったところ、彼女は御簾の中から彼の衣服をガシッとつかみ引きとどめ、即座に見事な歌を詠み切り替えしたのでした。予想外の反撃を受けた定頼中納言は、驚いて彼女の和歌に返歌することもなくその場から逃げ出してしまいした。これを機に、小式部内侍は歌人として広く人々に知られるようになりました。

 

【和歌の押さえたいポイント】

 

大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立

 

・訳:(ここ京都から)大江山を越えていく生野の道は遠いので、その先の母がいる丹後にある天橋立にはまだ足を踏み入れたことないし、母からの手紙だって見たことありませんわ。

 

・掛詞:同じ発音の1つの言葉に2つの意味をもたせる技法

『いくの』→ 【生野】と【行く】、 『ふみ』→【踏み】と【文】

 

・縁語:関連のある単語を和歌に詠み込む技法

【橋】は【ふみ(踏み)】の縁語

 

わずか三十一文字の和歌に、これだけの意味とテクニックを詠み込む才能。小式部内侍 恐るべし!!

 

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