KATEKYO知恵袋
開業150周年!鉄道と日本が誇る新幹線のあゆみ
2022年10月12日
2022年10月14日、鉄道開業から150年を迎えます。明治時代に開業した日本の鉄道は、当時の人々にとって、まさに文明開化の象徴となる驚きの出来事だったでしょう。
今回は鉄道開業150周年を記念して、鉄道開業までのエピソードと、日本が誇る新幹線の歴史や新幹線の進化系であるリニアモーターカーについて紹介します。
日本の鉄道は、1872(明治5)年10月14日、新橋・横浜(現 桜木町)の両停車場で開業式が行われ、翌10月15日、蒸気機関による旅客列車の運転が開始されたのが始まりです。これを境に、日本の交通事情がガラッと変わりました。
しかし、鉄道開業を迎えるまでの道のりはそう簡単ではありませんでした。
1869年、明治政府は新橋~横浜間の鉄道建設を決定しました。ですが、鉄道建設にあたっての技術、資材、資金がなかった当時の日本政府は、イギリスの支援を受けることとし、建築師長としてエドモンド・モレルを迎え、敷設工事が着手されました。
鉄道開通のための工事は単に線路を敷くだけではなく、海の埋め立てのほか、高輪や神奈川付近では海上に堤を築くなど、多くの難しい工程を必要としました。いくつもの困難を乗り越えて、1872年6月には品川~横浜間(約24キロ)が仮開業しました。同7月には、途中駅にあたる川崎、神奈川(現在の横浜~東神奈川間に位置)の両駅が開業。同8月に新橋~品川間の線路がつながり、着工から本開業まで2年半後の10月14日、遂に開業式を迎えました。日本初の鉄道開業式は、きっと日本中の注目を浴びたことでしょう。
鉄道開業から92年後、日本は世界初の高速鉄道となる新幹線を開業しました。
新幹線とは、日本における高速鉄道の呼び名で、速度・輸送力・安全性において世界の高速鉄道の先駆けとなった存在です。
新幹線の誕生は、1964年(昭和39年)10月1日に東海道本線の線路容量ひっ迫対策として、東京駅 ~新大阪駅間の線増区間として開業した東海道新幹線がはじまりです。
その後、新幹線は全国主要都市の間を高速で結ぶ新しい鉄道として続々と開業し、今では、北海道新幹線・東海道新幹線・山陽新幹線・東北新幹線・上越新幹線・山形新幹線・秋田新幹線・長野新幹線・九州新幹線の9つの路線に拡大し、総延長は実に2700キロを超えます。
安全性と輸送効率の高さを誇る日本の新幹線技術は、世界のさまざまな土地で導入されています。海外で採用されている新幹線についてみてみましょう。
◆台湾 初の輸出事例
台湾では、1999年に発生した大地震の影響で安全運行への関心が高まり、新幹線方式が採用されることになりました。2007年に開業した台湾高速鉄道は、日本の新幹線方式を海外に輸出した初めての事例です。
完成した路線は、台北郊外の南港駅から台湾南部の高雄市までを最短1時間半で結び、4時間近くかかっていた従来の特急列車と比べて大幅な時間短縮を実現。車両には、最高時速300キロに達する、700T型を採用しています。
◆イギリスではユーロスターと併用
イギリスの首都ロンドンから南東部のケント州に向けて、ハイスピード1と呼ばれる高速線が郊外へと延びています。この路線でユーロスターと並んで運行されているのが、最高時速225キロに達する、日立製作所製の「クラス395」車両です。クラス395は、日本の車両メーカーが初めて製作した欧州の高速鉄道車両です。
◆アメリカでも開業予定
アメリカ合衆国・テキサス州ヒューストン~ダラス間を90分で結ぶテキサス・セントラル・レイルウェイの建設計画が日本の新幹線方式を導入することが決まり、2026年の開業を予定しています。
海外でも評価されている日本の技術力。日本製の車両が海外を走る姿がさらに増えていくと嬉しいですね。
日本では、世界に先駆けて、磁気浮上式リニアモーターカー(超電導リニア)を導入した高速鉄道(リニア中央新幹線)の開業が決まり、既に部分的に着工しています。正式に開業すれば、東京~大阪間をわずか67分で結ぶ予定です。(現在の開業予定は2029年以降)
リニアモーターカーはなぜ宙に浮くことができるのでしょうか。その秘密は「超電導」にあります。超伝導とは、金属に電気が流れやすくなっている状態のこと。そこに電気を流すと、とても強い磁石になるのです。
磁石になったレールと、リニアモーターカーにも取り付けられた超伝導磁石によって、車体を浮かせて動かすことができます。車体の超伝導磁石に電気が通ることで、レールと磁石同士が反発したり、引っ張り合ったりします。それによって、宙に浮いたリニアモーターカーが前に進んでいくのです。
リニア中央新幹線実現のための走行試験は、山梨県で行われてきました。
1997年に山梨リニア実験線が完成。同年4月より各種走行試験を実施してきました。最適な営業線の設計に向けて、超電導リニアの時速500kmを超える高速域での乗り心地と安定性の確認を繰り返し、2015年4月に有人走行での時速603kmを記録しました。これは「最も早い磁気浮上式鉄道」として、ギネス世界記録®にも認定されています。
2004年には「高速すれ違い試験」もクリアし、営業線に必要な技術開発は既に完了しています。今後も、不具合を事前に察知する保守機能や快適性をさらに向上させるための走行試験は継続します。
以上、今回は鉄道開業と新幹線の歴史、最新式の超電導リニアについて紹介してきましたがいかがでしたか?日本初の鉄道開業から150年、宙に浮く新幹線の開業ももうすぐです。漫画やアニメで描かれている、車や電車が空を飛びながら移動する世界も意外と早く現実のものになるかもしれませんね。
参考サイト リニア中央新幹線
https://linear-chuo-shinkansen.jr-central.co.jp/about/